R.S.トマスとは? その人生、そして詩
R.S.トマスは多くの美しい、そして感動的な詩を残している。だがその一方で、彼の詩には常に緊張が存在した。詩の多くは、そこから生まれもしたのである。しかしその緊張感が、彼の詩を輝かせ、更に、強い印象を与えもするのだ。
彼の初期の詩の主題は、ウェールズ、ウェールズの丘の村、土にその足を根のようにはわせて働く、農夫であった。トマスは、ウェールズの荒れ果てた丘で働く農夫たちの苦境を詩情豊かに歌う一方で、徐々に自分のウェールズ人らしさを、英語で強調し始めるようになる。同時に、彼はまた、自分が本当のウェールズ人であることを証明するために、ウェールズ語で詩を書きたいと願う。しかし、それは叶わぬことだった。ここに隔たりが生まれる。そしてその隔たりに、緊張が生まれたのだ。
詩集『H'm』(H'm)(1972)で、トマスの詩が変わった。ウェールズのアバーダロンに着き、ウェールズ語を日常的に喋る優しい村人達に囲まれ、トマスはそれまでの主題を追い続ける必要性を、感じなくなった。そして「暗い」もしくは「不在の(しかしそれこそが神の存在である)」神について、熟考するようになったのだ。
彼はその問題について考えれば考えるほど、神と現代的な科学技術の間に、新しい緊張感を感じ取るようになる。その時、以前の音楽的な詩は、失われた。静かに、彼は詩の文章を砕いた。豊穣な言葉を拒否した。詩は、静寂に、そして、骨のように硬くなった。
従って、解決されない緊張感が、彼の思想と詩の両方に残った。しかしながら、その緊張感のために、彼の詩はより壮烈な輝きを放つのである。
Yoshifum! Nagata
シルビアン:今回のテーマのモチーフとなっている、詩人でもあり牧師でもあったR・S・トーマスという人が住んでいた、ウェールズ地方にある小さな村の名、それが「マナフォン(Manafon)」です。


