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『正座と日本人』丁宗鐵(1)松岡正剛の千夜千冊・遊蕩篇

古代このかた、日本人はいろいろの「すわりかた」をしていた。体の前で足の先をゆるく組むのが安座(あんざ)、ふくらはぎあたりでやや深く組むのが胡座(あぐら)、両足の裏をぴったり合わせるのが楽座(らくざ)、正座状態から足を左右にはずして尻を床につけるのを割座(わりざ)と言い、和式で用便するときのように足を開いてうずくまるウンチング・スタイルを蹲踞(そんきょ)、正座の爪先を踵(かかと)に乗せてしまうのが跪踞(ききょ)、片方の膝を立てるのを建膝(たてひざ=立て膝)などと言った。
それで正座はどう呼ばれていたかというと、跪坐(きざ)とか端坐(たんざ)と呼ばれた。和語ならば「かしこまる」「つくばう」である。群馬県太田の古墳からは、正座をして両手をついて跪(ひざまず)く正装の男性像が出土している。その男性の前に椅子に座る男性がいて、これはおそらく祭司だと考えられるから、この正座の姿は神や祭司に対して恭しい礼をとっているのであろうと思う。そのように、何かに畏(かしこ)まるのが正座だったのだ。

 

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